北海道 地質由来有害物質情報システム GRIP【試験公開版】

H23-25 重点研究 報告書「北海道内における自然由来有害物質の分布状況」

はじめに(自然由来有害物質に関する背景)

われわれの足下にある土壌および岩盤への汚染物質の拡散防止を目的として,平成19年に「土壌汚染対策法」が施行された.当初,この法律は人為的に持ち込まれた有害物質を対象として「責任者の定義」「汚染程度の確認調査方法」「浄化の義務」を法制化したものであった.平成22年の法改正に伴い,自然由来(土壌・岩盤にもともと含有されている物質)の有害物質も規制対象とすることが明記された.これにより,3,000㎡を超える土地改変事業では,発生した残土からの自然由来有害物質の無秩序な拡散を防止することが義務づけられた.

土壌汚染対策法の施行前から,多くの研究者の手により土壌および岩盤に含有されている自然由来有害物質の含有量やその状態,また地下水への汚染を想定している溶出量に関する情報が蓄積しはじめていた(例えば,飯村,1979;松本,2009;多田ほか,1978).近年の研究事例では,多量の採取試料について溶出量/含有量試験を実施し,実データの存在しない空間について空間補正を加えた等量線図として公開されている(丸茂ほか,2003;丸茂ほか,2006;土屋ほか,2006).このような図は広い領域の自然由来有害物質に関するリスク概要を知る上で貴重な資料であることは間違いないが,補間領域に分布する地質体が測定した地質体と異なる場合には補間すること自体の妥当性に対して疑問が残る.

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 環境・地質研究本部 地質研究所および独立行政法人産業技術総合研究所では,自然由来有害物質に関する問題に対して,平成17年度からの共同研究開始以降,"北海道内の地質体の岩相"と"自然由来有害物質の溶出挙動と含有量"の関係について検討を進めてきた.この結果から堆積岩の岩相や変質相,すなわち「地質体の形成過程」と自然由来有害物質の溶出挙動と含有量には緩いながら相関関係があることが明らかになってきた.本研究では上述の相関関係について追試を行い,この結果を活用して道内地質体に関する自然由来有害物質のリスク情報を提供するWeb公開情報システム「GRIP」を構築することを目指した.